ハローワークは別名「公共職業安定所」とも呼ばれている、厚生労働省が管轄をする就職活動を支援する機関です。退職をしたときに、失業保険をもらいに行くときくらいしか、利用したことがない人もいるかと思いますが、転職を考えている人にとっても有効な就職支援サービスが充実しています。
働きながら転職活動をするときに利用するのにも適したハローワークのメリットやサービス内容、就職活動での利用方法などを解説していきます。転職を考えている人は、ぜひ使ってみてくださいね。
もくじ
意外と知らない?ハローワークの基本的な情報を紹介!
ハローワークはどういう機関なのか、どのようなサービスがあるのかなど、ハローワークを利用したことがない人でもわかりやすく説明していきます。転職を考えている人は、転職サイトを利用している人が大半かと思いますが、ハローワークの利用も考えてみてくださいね。
ハローワークではどのようなサービスがあるのか?
ハローワークのメインは職業紹介サービスです。各ハローワークにある端末を使って、インターネットを介した求人の応募を出している企業を探すことができます。もちろんインターネットが使える環境なら、どこからでも検索可能です。
それから退職をしたときに、再就職へ向けた支援サービスとして失業保険の給付手続きも行っています。受付や手続き、説明会などを実施しており、たくさんの人が利用するので時間帯によっては非常に混雑していることもあるでしょう。
あとは再就職に向けた支援サービスの一環として、職業訓練校の案内や受付・手続きの窓口もあります。スキルを身に付けたい人、資格を取りたい人は、職業訓練校を利用するのもおすすめです。
基本的なサービスは以上となりますが、実は一部のハローワークではこれ以外にもさまざまなサービスを実施しています。
子育てをしていて、なかなか思うように就職に就けない母親のための「マザーズハローワーク」や、管理職や専門職を目指している人を支援する「人材銀行」、在学中で就職活動をしている学生のための「学生職業センター」・「学生等職業相談窓口」、扶養内で働きたい人などパートで働きたい人の支援サービスを行う「パートバンク」などです。
興味のある人は近くのハローワークで、まずはサービス窓口があるかどうか問い合わせをしてから、利用してみてください。
ハローワークの現状はどうなっている?
平成29年7月に厚生労働省から発表されている実績を見ていきましょう。全国で544カ所のハローワークが設置されており、職員が10,536人と相談員が15,702人で運営されています。28年度では求職者が約518.9万人で、企業からの求人数は約倍となる約973.4万件もあり、そのうちの約162.7万人がハローワークからの求人で就職できました。
25年度では求職者が約620万人で、企業からの求人数は約倍となる約852.2万件と、そんなに大きくは離れていなかったのですが、近年では求人を出している企業が多くなっていますね。
そのため、高齢者や若者、女性への就職支援サービスを積極的に実施しており、今まで働きたくても働けない層をもっと活躍させるためにがんばっているようです。
職業訓練校は失業保険をもらっている人は無料ですが、在職者や雇用保険に加入できない人、もしくは失業保険の給付期間が終わり、まだ就職できていない人、自営業をやっていたが何らかの事情で会社へ就職したい人のために、職業訓練受講給付金が利用できます。
受講手当10万円と、条件に応じた交通手当や住宅手当などを加算した手当が支給されるので、余裕がなくて就職活動ができない人でも安心して職業訓練校で勉強も可能です。
このように、ハローワークでは、就職ができるけれど、何らかの事情で不可能となっている人を積極的に支援していけるように、さまざまな試みを実施しています。
職業紹介や就職支援のサービスを理解しよう!
大まかなサービス内容は説明しましたので、次からはそのサービスについて、もっと掘り下げて解説をしていきますので、興味のある人はぜひ参考にしてみてください。
窓口における相談サービスの活用法
ハローワークにはさまざまな窓口があり、そのなかでもおすすめなのが、再就職への相談を行っている窓口です。ハローワークに掲載されている求人情報について、この企業は自分のスキルで応募するのはどうなのか、どんな仕事内容なのか詳しく知りたいというような質問を気軽にできます。
それから検索をしても応募したい求人が見つからない、どういう企業がおすすめなのかなど、漠然とした相談にも乗ってくれるので、気軽に利用可能です。
混雑しているときは待つ時間も長くなりますが、なるべく空いている時間帯を狙って相談窓口を大いに活用してみましょう。土日祝日はやっていないので、在職中の人は有給休暇を使うか、お昼休み時間に会社近くのハローワークを利用するのもおすすめです。
求人情報はどのような職業があるのか?
ハローワークには、多くの求人が掲載されています。事務系ではマーケティング、広報、人事、総務、会計、一般事務、営業事務、受付、秘書、在庫管理、通訳、翻訳、企画など、一般的な転職サイト並に多いです。
ウェブ製作や出版・編集関連、ゲーム制作などクリエイティブ系やIT技術関連の求人も多く、自分が希望している職種はほぼあると考えていいでしょう。
それから、最近ではハローワークに女性のための就職支援検索機能が追加されました。女性を積極的に募集をしている企業をたくさん掲載しています。
通常の求人と違うのは、子育てがしやすい企業や働き方が柔軟の企業を絞り込んで検索できるという点です。「働くママ歓迎」で調べてみると、女性が働きやすい、もしくは女性が活躍をしている職場が多く出てきます。職種で絞り込めば、さらに目的の仕事を見つけやすいでしょう。
「産休・育休取得実績」で探せば、これから産む予定のある女性にとって働きやすい職場を探せます。それぞれ自分の環境に合わせた職探しができるので便利です。
面接など就活を支援するサービスも充実!
ハローワークでは、模擬面接など面接の練習を実施しています。入室から挨拶の仕方、質疑応答、姿勢や身だしなみのチェック、退室の仕方まで一通りを練習可能です。面接や就職活動についてのセミナーも充実しているので、転職が初めての人は受けておいた方がいいでしょう。
履歴書や職務履歴書も書き方指南や、提出前のチェックなどもしてもらえますので、不安な人は利用するのがおすすめです。自分では気が付かない部分を見てもらえるので、何度か添削をしてもらい完璧な状態にしておきましょう。
求人情報の利用方法や紹介状について
実際に掲載している求人情報を検索をする方法や、紹介状についての詳細や注意点を説明していきますので、利用するときは参考にしてください。
紹介状で企業先への信頼やフォローも万全!
ハローワークに掲載されている求人については、すべての求人で紹介状を発行してもらえます。この紹介状を発行するシステムは、ハローワークだけの特徴です。紹介状を発行してもらうことにより、相手先の企業に推薦してもらえるほかに、本人確認も同時にできます。
企業は紹介状で応募者の本人確認ができるので安心です。応募者も面接前にハローワークからの紹介が入っている状態なので、緊張しがちな面接でも少しは気が楽になります。
ただし、この紹介状ですが、発行してもらったからといって、面接が受かるのに有利になるわけではありません。紹介状を発行してもらった人と発行してもらっていない人で面接をしたときに、当然仕事の能力やスキルで判断するので、紹介状なしでも優秀なら選ばれますし、紹介状があってもほかの人より劣るなら採用されません。
インターネットがある環境ならどこでも検索可能!
ハローワークに掲載されている求人は、インターネットを利用すればどこでも検索可能です。自宅やネットカフェはもちろんのこと、スマホでもWi-Fiなどの通信機能が付いていれば検索できますね。気軽にいつでもどこでも検索できるので、良い求人が出ていないか、定期的に覗いてみるのも良いかもしれません。
ハローワークへわざわざ行かなくても検索するだけなら十分ですが、紹介状を発行したり、相談窓口が利用できるので、ハローワークへ行って検索するのもおすすめです。もしくは、検索をしていくつか候補を探してから、相談窓口に行っても良いですね。
紹介状を発行するときに注意すべき点とは?
紹介状は発行をした時点で相手企業へ連絡が入るので、せっかく発行をしてもらったのに、面接を無断でキャンセルをしてしまうのは絶対にやめておきましょう。相手先企業とハローワークの双方に悪い印象を与えてしまいます。
何らかの事情で行けなくなってしまった場合は、必ず相手先企業とハローワークへ連絡し、ていねいに行けない事情を説明しておきましょう。
紹介状を発行してもらうときは、必ず面接を行くという前提で申し込みをしてください。
求人情報を探すときにはブラック企業に注意!
さまざまな職種の求人が多く掲載されているハローワークの求人ですが、残念ながらなかにはブラック企業と称される企業も実在します。数は多くありませんが、多くの求人から探すので、ブラック企業やそれに近いようなグレーな企業に気付かずに応募してしまうケースもあるので注意が必要です。
問題のある企業へ応募しないように、事前にブラック企業の特徴や対策方法を把握しておきましょう。
ブラック企業の求人情報にある特徴
ブラック企業であるかどうかは、一見しただけでは見つけにくいです。そこで、ブラック企業の求人で良くある特徴を見ていきましょう。
ハローワークの求人サイトは毎日更新されているので、新規募集が毎日追加されていきます。当然、新しい応募が増えるはずですが、ブラック企業の場合は、全く同じ内容の求人が常に掲載しているので、まずはそれで判断可能です。
定期的に覗いてみると、同じ会社名で全く同じ職種で給与などの待遇も同じですが、検索結果のページにひたすら並んでいるのは、かなりの高い確率でブラック企業である可能性があります。
あとは地図が掲載していないか、もしくは手書きの見にくい地図を掲載している会社は、パソコンがまともに使えないか、もしくはパソコンの設備がきちんとそろっていないなどの危険があり、実際に入社してみたら、何のソフトもインストールされていなくて仕事が進まないこともあるでしょう。
募集要項に仕事内容が詳しく書かれていない企業も、ブラック企業の可能性があります。具体的な仕事内容が書かれていない企業は、きちんとした事業計画もなく、常に人材不足で何もできないという可能性もあり、入ってからやる仕事がないか、すべての作業を押し付けられてしまうかのどちらかです。
もう1つの目安として、給与の載せ方でもわかります。年収の下限と上限が開きすぎなのは危険です。たとえば250~800万円と表記されているような場合は、250万円という安い年収でしか給与を払えないのに、上限を800万円とすることで、経験者はかなり高い給与を払うというような錯覚を起こさせる目的があります。
ブラック企業に応募しないための対策方法
ブラック企業かどうか、100%判明する方法はありませんが、上記のようなブラック企業の特徴から、危ない企業を除外することは可能です。100%の判断はできない企業で、ブラック企業かどうかの判断をどうすれば良いのか、その判断方法とブラック企業と判断できずに応募してしまうのを防ぐ対策方法について考えていきましょう。
ブラック企業かもしれないという企業でも、なかには自分にとって都合が良かったり、魅力的な部分があったりすると、どちらなのかを判明したくなりますよね。
怪しいと感じた企業については、まずは会社のホームページに行ってみましょう。万が一、会社のホームページがない!なんて企業は論外です。昔ならホームページがない企業は普通にありましたが、今や誰でも簡単にホームページが作れる時代に、自社のホームページがない企業はありえません。
ホームページがないのは、何らかの事情でホームページが載せられない会社です。たとえば、マルチ商法などの詐欺企業などがありますね。
それからホームページはあっても、どんなサービスを実施しているのか、どのような会社なのかがまったく記載されていない、素人が作ったようなスカスカのホームページも危険性が高いです。
まだ作成したばかりなのでと記載しているところもありますが、かなり怪しいので、諦めるか保留にしておきましょう。
あとは良いことばかりを掲載している求人も、かなり怪しいことは確かです。この場合、インターネットで調べてもブラック企業かどうかはわかりません。22時を過ぎているのに、オフィス内すべてに照明が付いているかどうかを調査するか、会社から出てきた人に、評判を聞いてみるのも1つの方法です。
それから、求人内容だけでは最もわかりにくいのが、セクハラ、モラハラ、パワハラなどのハラスメントが横行している会社です。求人内容だけではなく面接や企業調査でもわかりません。
ただし、今では企業の評判や口コミを載せているサイトが多くあります。登録が必要なところもありますが、気になる企業を探してみるのもおすすめです。
まとめ
さまざまな充実した就職支援サービスを実施しているので、転職活動をがんばっていきたい人には、ハローワークはかなりおすすめです。
求人検索は絶対にハローワークで探す必要もないので、民間の転職サイトを利用している人でも、面接の練習や就活セミナー、相談窓口を利用するのは自由です。
職業訓練校も手当てを利用することで、安価で利用できるケースもありますので、失業保険の手続き以外でも気軽にハローワークを活用してみましょう。