部下が自信を持って仕事をしてくれるか否かで部署全体の雰囲気や生産性が大きく変わってくるようです。中には「最近の若者は自分に自信がない」とお嘆きの方もいらっしゃるかもしれませんが、そのような場合においても部下を正しい方向に導いてチームの効率を上げるのが上司の役目と言えるでしょう。
この記事では、彼らが自信を持てない原因や自信を持って仕事に取り組んでもらうために上司として取り組みたいこと等をご紹介します。
もくじ
自信を持てないのは何故?その2つの原因って?
人が自信を持てなくなってしまう原因には様々なものがあります。それは幼少期に人格を否定されてしまったり、時期を問わず周囲から嘲笑されてしまったりという経験に基づくものではないでしょうか。
失った自尊心を回復させるためにはまずその原因を知っておく必要があるでしょう。自信が失われてしまった原因には多くのものが考えられますので、その全てを記載することはできませんが、主だった原因としては下記ようなものが挙げられるようです。
自信を持てないのは褒められた経験が少ないから
人は何かを行ったり挑戦した際には無意識レベルで誰かからの称賛を期待するものです。しかし、頑張ったのに思ったほどの称賛を得ることができなかったり、「そんなものできて当然」というような冷たい態度を取られ続けてしまうと自信を保ち続けることが難しくなってしまいます。
幼少期に適切な愛情や称賛を受けて育った子供は自然と自尊心が高くなり、何事にも果敢にチャレンジすることができるでしょう。しかし、それらを受けることができなかった人は何かに頑張ることやチャレンジすることに対する意欲が減衰しており、そんな自分に対して自己嫌悪を抱くことによって更に自信を喪失してしまうようです。
褒められて悪い気がする人が少ないように、貶されたり無視されて愉快な気持ちになる人もまずいません。貶されたり無視されたりという経験を繰り返すことによって人は徐々に自尊心を失い、結果として自分に自信を持てなくなってしまうのではないでしょうか。
自信を持てないのは周りの目を気にしてしまうから
そして、周りの目を気にしすぎることによっても自信が失われてしまうようです。周囲の目を気にしすぎるというのが我々日本人の特徴とも言われており、それは時に長所にも短所にもなり得るため、一概に悪いと断言することはできません。
しかし、そのせいでやりたいことにもチャレンジできず、自己嫌悪に陥ってしまっているのであれば話は別です。周囲の目を気にしすぎる余り自己表現が上手くできなくなってしまい、そんな自分に対して駄目出しをすることで、より一層自信が失われてしまうのではないでしょうか。
我々が人の目を気にして生きているのは今に始まったことではありません。しかし、昨今のインターネットやSNSの発展により、周囲の目という存在が更に強化された節があります。
そのような社会で周りの目を気にせず生きるのは相当なタフさが求められるでしょう。
部下に自信を持たせるためにすべきことには何がある?
しかし、部下が自信を持てずオドオドしているようでは、部署全体の仕事が上手く回らなくなってしまう可能性があります。それを防ぐためにも、上司には部下に適切な対応を行い、彼らの自信を取り戻す手助けをすることが求められるでしょう。
では、一体どのように接すれば良いのでしょうか?その鍵となるのはやはりポジティブなコミュニケーションであり、相手を褒めることにあるようです。その辺りをもう少し詳しく見ていきましょう。
簡単な仕事を頼み、小さな成功体験を積ませよう
部下に自信を持ってもらうための方法としては、簡単な仕事を頼み小さな成功体験を積ませるというものが挙げられます。自信というのは言い換えれば「自分はできる、やれる」といった感覚ですので、実際に「できる、やれる」という経験を積ませることで徐々に自信を得ることに繋がるでしょう。
この場合、どのような仕事を頼むかという点が上司の采配にかかっています。あまりにも簡単すぎるものが続くと、逆に「自分は戦力外なのかもしれない」という疑念を抱かせてしまう懸念もあるため、その都度適切なレベルの仕事を振ることが求められます。
それは簡単なことではありませんが、適切な仕事を振り続けることによって彼らに自信をつけさせることができ、同時にスキルアップも見込めるでしょう。自分でスキルアップを実感し、徐々に難しい仕事をこなしているという実体験が伴えば、失った自信も少しずつ回復していくのではないでしょうか。
部下が何かを達成した際には素直に褒めることを心がけよう
そして、部下がしっかりと仕事を達成した際にはその都度褒めることを心掛けましょう。「できて当然」という態度が論外なのは勿論ですが、「内心で思っているから一々口には出さない」という態度も良いものではありません。
前述した通り、人が自信を失ってしまう大きな原因として、何かを成し遂げたのに誰にも称賛してもらえない、というものが挙げられます。例え誰かが内心で「凄いね」と思っていたとしても、それを口に出したり態度で表さない限り当人には伝わらないでしょう。
他人を素直に褒めるのは少々気恥ずかしい行為であり、それが得意だという人は少ないのではないかと思います。しかし、上司には部下を適切に育成し、彼らが会社の戦力となるようサポートすることが求められます。
その一環として、相手に対して適切な言葉をかける必要があり、それは長期的に見ると自分のためにもなるのではないでしょうか。
叱る際には、決して人格否定をしないようにしよう
仕事をしていると、時には部下を叱責しなければならないようなシーンも生じます。しかし、そのような際にも決して感情的にならず、人格否定することなく、冷静さを保ちつつ叱責するよう心掛けましょう。
中には感情的に相手の人格を否定するような叱責を行う上司も存在しますが、一度でもそのようなことをしてしまうと部下の自尊心に大きな傷を残してしまうことになります。それを避けるためにも、怒りの感情に身を任せず、一人の成熟した大人として正しい叱責の仕方を学んでおきましょう。
そもそも、仕事の失敗と人格否定の間には何の相関関係もありません。仕事が上手くできないからといって当人の人間性が毀損されるわけではなく、それはあくまでも能力的な問題に終始するものです。
すなわち、仕事における叱責で相手の人格否定を行うということは「自分は物事を論理的に考えることができない人間だ」という証明にもなってしまうので注意が必要です。
日頃から良いコミュニケーションを取り、信頼関係を築こう
部下の自信を育てるためにも、日頃から良いコミュニケーションを取り上司部下間に信頼関係を築いておいた方が良いでしょう。信頼できる人からの言葉は信用に値するものであり、それは時に自分の主観に勝ります。
そのため、部下から適切な信頼感を得ることによって、同じ褒め言葉でもその効果を向上させることができるかもしれません。誰しもあまり関係のない第三者から褒められるより、自分が信頼して尊敬している人から褒められた方が嬉しいものですし、自信にも繋がります。
適切な信頼関係を築くのは身近な関係でも難しいものであり、ましてや社内の人間関係においては困難を極めるかもしれません。しかし、互いに信頼し合って仕事を進めることのできる部署はそうでない部署に比べると生産性が高くなるというデータもありますので、部下から信頼されることもまた上司の務めの一つと言えるのではないでしょうか。
メンバーが自信を持って仕事に取り組めるかどうかで部署の成績が決まる
各メンバーが自信を持って仕事に取り組めるかどうかで部署の成績や生産性が決まるという面があるようです。考えてみればそれは当然の話であり、個々がオドオドして仕事に取り組んでいるチームよりは、堂々と自信を持って仕事に取り組んでいるチームの方が成果も生産性も上がりやすいでしょう。
管理職は、人材や予算等限られた資産を使って可能な限りの成果を出すことが求められます。特に人という資産は様々な要因によって仕事に対する情熱や生産性、能力といったものが変化しやすい不安定な存在と言えるでしょう。
しかし、その不安定さをコントロールし、なるべく安定した成果を上げるのが上司や管理職の役割です。そう考えると、部下が自信を持って仕事に取り組めるかどうかは部下だけの問題ではなく、上司の問題とも言えるのではないでしょうか。
まとめ
時代背景や家庭環境等様々な理由から自分に自信を持つことのできない人が増えているようです。自分に自信を持つことができなければ、何をするにもおっかなびっくりになってしまい、常に周囲の目を気にしながら毎日を過ごすことになるでしょう。
周囲の目を気にすることで他人との関係を穏便に構築できるという利点もありますが、やはり自分に自信を持って活き活きと日々を送った方が人生も捗ります。そして、上司の立場としては部下が自信を持って活き活きと仕事に取り組んでくれた方が生産性も上がり、何より自分も「よし、頑張るぞ」という気持ちになるのではないでしょうか。
誰しも産まれた時から自信がなかったわけではなく、生きていく過程で何らかの原因によって自信が失われてしまったのでしょう。それを取り戻すことは簡単ではありませんが、上司の立場としては可能な限りのサポートを行いたいところです。